フクシのパレットに異彩の絵具を。

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Focus On Me

「福祉」
自分とは関係ない、難しそう
福祉にそんなイメージを抱いているあなたへ。
アソブ、フクシ。
そんな思いを感じてください。。

ご協力

株式会社ヘラルボニー
代表取締役社長松田 崇弥さん
PRプランナー・広報佐々木 めばえさん

青を中心に赤や緑の無数の点。
Webサイトをスクロールする手を止める。傘だ。
デザインに惹かれクリックする。知的障害のあるアーティストがデザインした作品らしい。
MUKUが「障害」と私のボーダーを取り払った瞬間だった。

MUKU

「MUKU」では、知的障害のあるアーティストによる作品をネクタイやブックカバーといった商品へと製品化している。松田さんらがどんな製品にしたらアーティストが描いた作品を生かせるかを基準に考えていくそうだ。

「知的障害があるからこそ描き出せる世界がある」
松田さんは知的障害のある方の多くがもつ日々のルーティンに”異彩”を見出す。
彼らにしか描けない「アート」がそこに感じられるからこそ、魅力ある商品が生まれている。

笑っていいの?

障害というテーマでのインタビューに緊張を隠せない学生記者の二人。
そんな二人を前に朗らかに笑うヘラルボニー代表 松田崇弥さん、広報 佐々木めばえさん。そこには「アソブ、フクシ」の“出発点”になる体験があった。

松田さんのお兄さんは自閉症だ。

松田さんうちの兄貴はパニックになるとビニール袋を被る癖があったんですけど、中学生の時、急に「トイレでシンナー吸ってるやつがいるからみんな見に来てくれ」って言われて、見に行ったら兄貴がパニック起こしていて(笑)
あの時、自分の兄貴だって言えなかった事はすごく後悔しているんですよ。

佐々木さんはインターンとしてヘラルボニーに参加する大学4年生。中学生の時にナルコレプシー(居眠り病)、高校生の時にADHDという診断を同じ医師から受けている。そのことに疑問を感じた佐々木さんは医師にその理由を尋ねたことがあった。

佐々木さん中学生の時はナルコレプシーっていう診断名が薬を処方するための切符みたいな形で必要で、高校生の時はADHDっていう診断名が保険会社から薬をもらうために必要だったという説明を受けた時に、診断名はあまり関係ないんだなと思いました。

本当に大事なのは、その人がどういう状態であるか、何かしよう、やりたいと思ったときにどんな障害が“生じるか”だと思っているんですが、今の社会では一度障害名がついたら、その障害名に捉われたり、診断名だけで判断されてしまうような風潮があるなあと思っています。ただ、体内で物理的に痛みを感じるような身体的な障害と、個人が社会で生きる上で生じる社会的な障害は区別して考える必要があると思います。

身近だったからこそお二人が感じた障害に対する社会とのイメージギャップ。周囲との認識の違い。
それが“出発点”となって、松田さんはMUKUを立ち上げ、株式会社ヘラルボニーを創立。
佐々木さんはそれに賛同した。

「わたし」と「障害」~オープンで優しい向き合い方~

彼らが感じたギャップは私たちとのギャップでもあるかもしれない。
障害が身近ではない私たちには何が足りないのだろう。どうしたらいいのだろう。
学生として答えを探して質問を重ねる。

えってぃお二人の考える「障害」って何ですか。

松田さん僕は「普通じゃない」っていうことを隠さずに、声を大にして言ってしまおう、と思ってるんですね。それと同時に知的障害って言った瞬間、不幸な会話の始まりスタート、みたいなのはちょっと避けたいなと思っていて。「普通じゃない」っていうのは一つの個性で、それは「可能性」だと思っています。

佐々木さん障害は環境と個人との相互作用の中で生じるものだと思っています。わかりやすい例を出すと、今の通常学校では座って授業を聞く場面が多いと思うんですが、もし動いている方が学びやすい学びのタイプを持つ多動の子がいたとして、その子が苦痛を感じているのなら、それはその子に障害があるのではなくて、学校の授業のシステム・授業の環境とその子の「タイプ」が合っていないということだと思うんです。そういう意味で、システムもしくは環境と個人の間に「生じる」ものが障害の一つだと考えられるのではないかなと思います。体に痛みを感じるような、体内で起きる個人内での障害と、社会的に生じる障害を区別した上で、誰にとってどんなときに何が障害になっているのかという視点で考えるのがいいかなと今のところは思いますが、このことについては本当に多様な考え方があると思うのと、私の中でも人生の中で変わっていくかもしれないので、あくまで私の現状の考えとして受け取ってもらえたらうれしいです。

いけちゃん友達が介護施設の体験に行った際、そこで出会った障害者の方を「怖い」と感じたと言われたことがあります。それに何も返せなかった私もその立場なら…と考えた時、言葉や事実としてだけで、障害を理解しきれていない部分があるのではないかと思いました。そんな私が友達に言えたこと、言うべき事はあったのでしょうか。

佐々木さんどういう状況で怖いと感じたのかにもよると思いますが、(お友達の反応は)自然な反応だと思います。例えばお化け屋敷は何が起こるかわからない未知性があるから怖いと思うんですよね。人間って自分にとって未知なものに対して、恐怖を抱きやすい生き物なので、理解できない行動をとっている人が目の前にいた時に驚いたり怖いと感じたりするのは自然だと思います。じゃあなんでその人がそういう行動をとっているのかとか、そうした行動をとる背景がわかれば、もしかしたら怖くなくなるかもしれないですよね。
もともと現状の社会で生きるにあたって環境の調整が必要なために政治的な手段として「障害」という名前を用いているので、会社や学校という公的・社会的な場所であれば話は別だと思いますが、個人的な人間関係において「怖い」と思ってその人と関わりたくないと思うのなら、それはそれで個人の選択の一つであっていいんじゃないかなと思います。

ただ、自分がなぜ「怖い」と思ったのか、自分が何に対して怖さを感じたのかを振り返ってみることはすごく大事だと思います。自分にとって何が既知で、何が未知だったのか、何が異質だと感じたのかを知ることは、自分という人間を知るためにも重要だなと思うからです。そういう意味で自分にとって異質性が高い人は、鏡の作用を果たすと思っているので、もしその友達に対してできることがあるとすれば、何が怖かったのかを一緒に考えて整理することはできたんじゃないかなと思いました。

私たちは何か足りないわけじゃない。しなきゃいけないわけじゃない。
怖い。その感情はきっと、私たちと障害の間にある「障害」。
無理はしなくてもいい。自分自身が考えて判断すればいい。

一方で、お二人は社会に対して、ある思いを抱く。

佐々木さん私は「適応」ではなく「解放」をしたいと思っています。その人の持つものが障害になるかどうかは環境によるので、障害だとして社会に適応させるように支援をすることも場合によっては大事になることもあるかもしれませんが、それだけではなく、特性があるからこその感性だったり、そういうタイプだからこその感受性、物の見方といったところにもっと着目して、それが解放されるような場所や企画をつくりたいなと思っています。

松田さん僕はもう知的障害のある人達のことを異彩って言いきることにしていて、「異彩を放て。」っていう言葉は、ヘラルボニーのホームページにも入れてるんですけど、この世界を隔てている先入観やボーダーみたいなものを、取り払っていきたいっていう風に思っています。

「あーーそーぼっ!!」そう言われた気がした。
嫌ならいい。でも、楽しいよ。
私たちは簡単にボーダーのその先に踏み出せる。。

松田さん僕らは、障害者福祉はこうしなきゃいけません!みたいなのは、多分一生やっていかないと思うよね。笑 なんかこうもっとフラットに。面白く。「アソブ、フクシ」ではないですけど。

佐々木さん提案だといいな、って。こういうのもあるよね、っていう。

建築現場の仮囲いに知的障害のあるアーティストのアート作品を転用する、全日本仮囲いアートプロジェクト。
知的障害のある方の兄弟が集まるコミュニティ、カタルボニー。
見えない、聞こえない、話せない状況でコミュニケーションをし、すべての人類がつながる未来の言語を模索するワークショップ、未来の言語。
さらには従業員として知的障害のある方がはたらくホテル型福祉施設の構想まであるという。

ヘラルボニーの活動は続いていく。

action & share

MUKUの世界を覗きに行こう!
今すぐチェック!http://muku-official.com/
「なぜだろう」、「どうしてだろう」という視点を持って障害、自分を見てみよう
「障害を理解したところで誰のことも理解していない」。佐々木さんの言葉です。
誰にとって何が「障害」となっているのかなという視点で自分のいる環境や物事を見てみてください。

!ありがとうございました!

株式会社ヘラルボニー
福祉を起点にこの世界を隔てる先入観や常識といったボーダーを取り払う企画会社
http://www.heralbony.com/
MUKU
知的障害のあるアーティストの作品を製品化するヘラルボニーのプロジェクト
http://muku-official.com/

あとがき

青木 菜々恵あおき ななえ
  • ニックネームえってぃ
  • 大学早稲田大学 文学部1年

教職科目を取りながらも、教師になるかは迷い中。インターン内では圧が強いと言われています。笑

実は私は他人とオンライン上でコミュニケーションをとるのが大の苦手。結構悩んだりもしましたが、取材をしてこれも「障害」だ、と思うように。だってSNSのない時代なら無い悩みです。そう思うとすごく楽になりました。「障害を理解したところで誰のことも理解していない」確かに「私」=「ラインの返信遅い人」と思われても困ります。笑

池田 実夢いけだ みゆ
  • ニックネームいけちゃん
  • 大学大妻女子大学 人間関係学部2年

最近のマイブームは週5日で食べるキムチ納豆。自分に自信をつけたいという思いでインターンを始めました!

障害という言葉だけで自分は理解したり受け止めた気になっているのではないか。私の中でずっともやもやしていたこの問いに対し、歩み寄るのか、寄らないかという所から個人の自由なんじゃないかという1つの選択肢を松田さん、佐々木さんが教えてくださいました。私は障害の前に「個人」として知っていこうという選択から少しずつしていきたいと思いました。

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