プラスチック問題×ビジネス。
環境にやさしいプラチックは本当に創れるのか?

2020.03.17

COMPASS

「プラスチック問題 × ビジネス」

あなたの身の回りでよく見かけるプラスチック製品は何ですか?
ペットボトル、ビニール袋、包装容器。
私たちの身の周りに溢れているプラスチック製品。
便利な反面、実は海洋汚染やゴミ問題などたくさんの環境問題の原因になっています……
こうしたプラスチック問題に対して、私たちは何ができるでしょうか。
生分解性プラスチックの開発を通して
プラスチック問題の解決に挑むベンチャー企業であるバイオワークス株式会社の熱い想いを感じてください。

目次

  1. 1.今、生分解性プラスチックが熱い。
  2. 2.どんな想いでバイオワークス株式会社の仕事をしているのか?
  3. 3.「ポイ捨てOK!」ではない?
  4. 4.できることからはじめよう!
  5. action & share

1.今、生分解性プラスチックが熱い。

世界経済フォーラムは、2050年にはプラスチック生産量がさらに約4倍となり、「海洋プラスチックごみの量が海にいる魚の総量を上回る」という予測を発表している。

(参照:WORLD ECONOMIC FORAM

また、近年EUでは2021年までに使い捨てプラスチック製品の流通を禁止する法案を採択した。身近なところでは、スターバックスが紙ストローを導入しているなど、使い捨てプラスチックの使用削減は、生物の生息環境を守ること、そして原料となる原油の使用量の削減にもつながり、地球の資源保護に有効な取り組みである。また、プラスチックの製造過程や、リサイクルできないプラスチックの焼却過程で排出される温室効果ガスの削減にもつながる。

(参照:使い捨てプラスチックの使用削減と適正処理に向けた取り組み

今、地球環境を守るため、世界的にプラスチックの使用を控えようとする流れがある。

そんな中、生分解性プラスチックの開発を通してプラスチック問題の解決に挑むベンチャー企業がある。それがバイオワークス株式会社だ。

生分解性プラスチックって何?

PLA(ポリ乳酸(Poly-Lactic Acid))は、植物を原料に作られた環境にやさしいプラスチックの一つ。適切な条件下では、微生物の作用によって水とCO₂に分解されるため、生分解性プラスチックと呼ばれている。また、生分解性プラスチックは製造、廃棄時のCO₂排出量が少ないこと、時間をかければ自然界でも分解しうる事などから、環境にやさしい材料として注目されている。しかし、成形や耐熱性などの課題は多く、限られた用途でしか使われていませんでした。

両方とも生分解性プラスチックが主な原料の製品です

今回、取材を受けていただいたバイオワークス株式会社は、添加剤を加えることでそのような課題を解決した生分解性プラスチックの開発を実現した。
そんな夢のプラスチックを実用化すべく挑戦を続ける、バイオワークス株式会社の三宅禎輝さんにお話をうかがった。

プロフィール

三宅禎輝(Miyake Yoshiki)さん

4児の父でありながら、経営者など多方面で活躍。

<経歴>
アクロン大学(オハイオ州) 2000年卒業
株式会社CTCクリエイト 1995年~1997年
株式会社アイフェイス 1997年~2000年
有限会社サムズアップ 代表取締役 2005年~2010年
DeN株式会社 代表取締役 2013年~
Bioworks株式会社 2018年~

世界トップレベルのPLA(ポリ乳酸)を使う技術

さとこ:環境問題への取り組みにおいて、世界的に見るとバイオワークス株式会社はどのくらい進んでいるとお考えですか?

三宅さん:弊社はポリ乳酸の添加剤を使う技術力で言ったら世界でもトップクラスです。日本では突出しているといえます。生分解性プラスチックを使用したマネキンなどに関しても、ここまで成型できている企業は弊社以外にはありません。25%生分解性プラスチックを使用したボトル等は他社でも実用化されていますが、弊社のように100%生分解性プラスチックを使用した環境に良いものを作れる企業はないと思います。

バイオワークス株式会社が実際に製品化されている生分解性プラスチック100%のマネキン

2.どんな想いでバイオワークス株式会社の仕事をしているのか?

環境問題の現状やそれに取り組む必要性を子どもたちに伝えていく

三宅さん:マイクロプラスチック(※1)の問題などは手遅れになった時に直しようがないので、そうなる前に、今できる時にやるという危機感を常に持って取り組んでいます。環境問題をないがしろにすると、自分たちだけでなく今の若い人や子どもたちが大人になった時に、大きな負の遺産になります。私は子どもが4人いるので、なんとか手遅れにならないよう頑張っています。また、親としても、子どもたちへ環境問題に取り組む姿勢を示していきたいと考えています。

※1マイクロプラスチック:環境中に存在する微小なプラスチック粒子。海洋生物がマイクロプラスチック自体と、それに付着した有害物質を摂取し、生物濃縮によって海鳥や人間の健康にも影響することが懸念されている。

CTO(最高技術責任者)寺田さんの諦めない強い想いが生んだ生分解性プラスチックPlax

太一:生分解性プラスチックを広めていこうと考えた背景を教えていただけますか?

三宅さん:2006年にバイオワークス株式会社の前身となるバイオベースという会社が設立されました。そこに現CTOの寺田がパナソニックから出向してきました。環境ブームが終わり、リーマンショックなどにもよってポリ乳酸事業から他社が撤退していく中で、企業や国からの援助をいただきながら寺田は諦めずに研究開発を続けました。そして、2014年に成形や耐熱性などの課題を解決した生分解性プラスチックの開発が実現したことにより、バイオワークス株式会社を立ち上げることになりました。これをきっかけに、Plax(下図)が商品になるのではないかと、大阪大学ベンチャーキャピタルから出資していただき本格的にスタート。環境に良いポリ乳酸を広めたいという寺田の諦めない強い想いが、今の業績に繋がっています。

プラスチック製品の使用について

太一:近年、レジ袋の有料化など、国を挙げて環境に対する取り組みが行われていますが、このような政策は、今後も続いていくと思われますか?

三宅さん: EU、アメリカを中心に多くの国でプラスチックの使用に対して規制が入ってきています。例えば、フランスでは法律によって、2020年1月から生分解性プラスチックの含有量が50%(2025年からは60%)未満の使い捨てプラスチック製品の使用が禁止されています。それぐらい強く世界中が動き始めているため、ブームだけでは終わらずに変わっていくのではないかと思っています。

3.「ポイ捨てOK!」ではない?

三宅さん:実は、生分解性プラスチックだからと言って道端に捨てていいわけではありません。PLAが分解されるには、80℃以上の高温、80%近い湿度が必要です。外にある状態ですと、分解するのにとても長い期間を要します。コンポスト(※2)に入れると加水分解(※3)・生分解(※4)されます。そういった処理をするところまでの工程を、世間に浸透させることが大事になってくると考えています。
また、今やりたいと思っているのは、イベント会場などで使われているコップやストローなどのプラスチックを全てPlaxに変えるということです。それらをコンポストに捨てる事で、その場で加水分解・生分解されます。

※2コンポスト:枯れ葉や生ごみなどの有機物を、微生物や菌の力で分解発酵させてできた「堆肥(たいひ)」。日本では堆肥そのものと、堆肥を作る道具の2つの意味が混合して使われている。

※3加水分解(かすいぶんかい):反応物に水が反応し、分解生成物が得られる反応のこと。

※4生分解(せいぶんかい):バクテリア、菌類、その他の生物によって化合物が無機物まで分解されること。

どうやって分解するの?

三宅さん:分解する方法は、コンポストに入れて加水分解・生分解させて、水とCO₂にしていくという方法です。ただ、日本ではコンポストも普及していません。そのため現状は、ほとんどが燃やして処理されます。燃やしたとしても、PLA(ポリ乳酸)はほかの樹脂と比べてCO₂の排出量が少なく、その点は環境に良いです。また、植物由来で植物の時にCO₂を吸収していて、燃やすときにそれを排出するので、CO₂の排出量は非常に少ないといえます。そのことから将来的には、コンポストを用いて分解していくというようなことを進めていきたいと考えています。

マイクロプラスチックの環境問題に対する解決策にはなるのか?

太一:マイクロプラスチックの生物濃縮が環境問題として深刻化してきていますが、生分解性プラスチックは解決策となるのでしょうか?

三宅さん:解決策にはなりません。まだ実際に海で分解されるか、分解に何年かかるのかもわかっていません。温度やバクテリアの数などによっても変わってきます。最終的には分解されてなくなると考えられます。しかし、そこまでのある一定の期間はマイクロプラスチックとして存在してしまいます。半永久的に残る石油由来のプラスチックよりは良いと思いますが、やはりコンポストなどに捨てることを浸透させていくことが大事だと考えています。

4.できることからはじめよう!

さとこ:生分解性プラスチックの開発を通して、若者や子ども、地球の未来のために環境問題に取り組まれていますが、今、環境問題に関心を持っている学生たちに向けて、最後に一言いただけますでしょうか。

三宅さん:環境問題についてニュースなどでも流れているので、目にする機会はあると思いますが、結局のところ、ほとんどの若者がそれほど身近に感じていないのかなと思います。 テレビで見て終わるのではなくて、身近に感じていただきながら、まず考える事やできる事から始めてもらいたいと思っています。

action & share

環境に関するワードを検索してみよう
例)#環境、#プラスチック問題、#バイオプラスチック、#プラスチックスマート
→興味を持った記事や投稿をshare!
実際に使ってみよう
「生分解性プラスチック製品」で検索!

編集後記

上野聡子(さとこ)東京家政大学 3年生

ハマっているもの:鬼滅の刃

レジ袋やストローが紙製に移行している中、生分解性プラスチックは紙よりも環境に優しいと知り、早く出回ってほしいと思いました。しかし、普及するまでは値段が高いため、高くても環境に優しいモノを人々に選んでもらえるよう、教育が必要だと思いました。7月からレジ袋が有料になるため、このような機会を利用し、環境に優しい行動をとれる人が増えればと思いました。

鈴木太一(太一)埼玉大学 3年生

ハマっているもの:サウナに行くこと

プラスチック問題、身近にあるようでどこか遠くに感じていました。
なんだかんだ言っても、プラスチックは便利なもので、プラスチックなしの生活は考えられません。
だからこそ、プラスチックに取って代わる生分解性プラスチックの開発、実用化に取り組むバイオワークス株式会社の仕事はとてもかっこよく、大切なことだと感じました。
取材を通して、バイオワークス株式会社の仕事やそこで働いている人たちの想いを知る中で、自分の将来についても見つめ直すきっかけになりました。自分はどんな想いで仕事をし、何を成し遂げたいのかを自分事としてしっかり考えていこうと思いました。

SNSで情報発信中!