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グローバル・リーダーシップ・プログラム

201701/16(Mon)
グローバル・リーダーシップ・プログラム インタビュー記事

Du’Anyam:「10円さえもない」~母なる織物の挑戦~

WRITER

Angela Upitya
Social entrepreneurship could be one way to help and sustain the economical and social aspects especially in Indonesia. To see young people helping the mothers and people in one of the poorest area in Indonesia by Du’Anyam, gives us hope and some thought that we can do it to. We can do anything to make a better life for those who need it.
名古路怜美
Du'Anyam を創業した社会起業家はみな若い女性たちです。女性ならではの視点で貧困状態にあるインドネシアの妊婦さんやお母さんたちを支える。彼女らの行動力に圧倒されるとともに私たちにも何か出来るのではないかという思いにさせられました。
笹島沙也加
​インタビューしていて、何としてでも解決したいという強い思いを感じて、強く引き込まれました。この記事を通して、皆さんも一緒にDu'Anyamのパワーに巻き込まれてくだされば、幸いです!

 

インドネシア政府の妊婦保護活動に参加するためのお金はたった10円。しかし、その10円さえ出せない妊婦が75%におよぶ地域が、観光で有名なバリ島のさらに東にある、フローレス島にあった。そのため、妊婦の半数が医者の処置なしに、薬を使って自宅で出産し、25%の女性が死産や流産を経験しているという。21.8%の女性が慢性的な栄養失調に苦しみ、80%の妊婦が妊娠期間中もハードな農作業に従事する。そして、その全ての原因は現金収入が得られないことによる。乾いた土地のこの村ではキャッサバとお米だけを食べる毎日。その収穫も気候に左右されるうえに、バイヤーによって値段コントロールされるため、農作物はほとんど、売り物にならず、鶏肉や魚などのたんぱく質も1、2週間に一度しか食べることができない。村の多くの男性がマレーシアに出稼ぎに行っており、村に残った女性たちが農作業をせざるを得ないのだ。

 

その問題を解決するために立ち上がったのが、Du’Anyamである。過酷な農作業の代わりとなる別の就業機会として、目をつけたのが、この地域に元来あった「織る」技術だ。Dua はこの地方の言葉の「母」、Anyamは「織物」に由来する。この村ではパルミヤヤシの葉で作ったハンドクラフト製品はもともとセレモニーや日常製品として使われ、地元で安く売買されていた。それにカラーリングや織り方を工夫したモダンなデザイン、そして、余分な繊維を取り除き、均等なサイズや質に徹底管理されたクオリティーを保つことによって、商品化を可能にした。最初は皆、商品にならないと女性たちは半信半疑だったという。

現在はスリッパ、バスケット、マット、ネームタグ、財布などを製作している。柄のパターンも豊富だ。このクオリティーを保つために、それぞれの村にスタッフを配置し、一つ一つの商品を検査し、その出来によって、女性たちに払われる金額も変えている。例えば、バスケット一つは約3ドル。もし質がAランクと判断されれば、100%支払われるが、Bは70%、Cは50%となるために、女性たちは常に質の高いものを作ろうとする。結果的に商品として、ふさわしい製品を市場に供給することができるのだ。

 

現在は主にバリ島のリゾートホテルなどで商品が置かれ、ゲストのスリッパとしてDuAnyamの商品が使われている。スタッフが現地で直接交渉して、レストランやホテルに商品を置いてもらっているという。アメリカのフェアトレード商品を扱う店や、他の国からの注文も受けている。オンラインのメッセージから、個人や企業からの注文も受け入れている。

しかし、まだオンラインストアや店舗での販売はない。また、バリ島以外の他のエリアには、あまり販売経路を広げられていない。その理由として、輸出費が高くなるということ、全て手作りのために、大量生産は難しいということがある。流通経路も複雑で、フローレンス島で作っているが、スリッパの踵を付けたり、ロゴやDuAnyam の活動を紹介したカードをつけるなどの加工はジャカルタで行っており、そこから、また消費者のもとへ運ばれる。今は他の荷物と一緒に船で運んでコストを抑えているが、それでも、その運送費は全体の支出の12%を占める。

ただ、まだ2014年に会社が立ち上がり、実際に販売し始めたのが2015年。まだ販売し始めて1年だ。最初の年は注文納期に間に合わず、キャンセルせざるを得ないこともあったが、今では技術セミナーも開かれ、技術も向上している。

もちろん、女性に対するインパクトは莫大だ。商品一つ一つに対して、制作費が支払われるだけでなく、販売後の利益もシェアされ、特に妊婦がグループにいるときは、重点的に利益が配分される。現金収入が入ったことで、彼女たちは栄養不足が改善されたり、病院での出産や、気候に左右される自給自足農業の依存からの脱却が可能になった。経済支援だけではない。DuAnyamは母性衛生に対しても取り組んでいる。妊娠期間中は織物だけに集中することで、肉体的に負担のかかる農作業からの解放になるだけでなく、妊娠中の健康衛生の重要性や、お金の使い方など、妊娠前のケアも行っている。

 

まだ確かに課題もあるが、インタビューをしていて、創始者Hannaの強い思いを感じることができた。この思いが彼女たちを集め、動かしているのだろう。そして、私たち消費者までをも巻き込んでいく。

実は、日本語のホームページも用意されている。スリッパや籠バッグを日常的に利用する日本でもDuAnyam の思いとともに製品が活躍する日がくることを期待する。

取材先企業

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Du'Anyam
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