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グローバル・リーダーシップ・プログラム

201701/27(Fri)
グローバル・リーダーシップ・プログラム インタビュー記事

e-Fishery

WRITER

Suhendri
北條美紀
飯干ノア
​養殖場で使用される給餌機と社会貢献を関連付けることは、元漁師であるギブラン氏にしか考ええない発想だと思いました。この取り組みが農業にも適用される日を楽しみにしています!

「スマホ1つで世界中どこにいても魚の餌やりができるって?そんなことできるはずない!」e-Fisheryの商品について初めて聞いた時の私の感想である。e-Fisheryとはインターネット回線やSMSを通じて餌を与える指令を送り、機械がその指令を受信して自動で餌やりをするという仕組みだ。
インドネシアの社会起業家であるギブラン・フザイファ氏は、大学3年時にナマズの養殖を行った。この時に、養殖業界において漁師が直面している過給餌による漁場の水質悪化、漁師の高齢化という問題に気づき、そこからe-Fishery創始のアイデアを得た。
養殖業の抱える大きな課題の1つに、過給(かきゅう)餌(じ)による水質悪化がある。餌を与えるタイミングや量を見極めるのは非常に難しく、たくさんの量の餌を何度も水の中に放り込んでしまっては、食べ残しの餌が水槽の下にたまってしまう。これにより、水が栄養過多状態となり漁場の水質悪化のみならず、インドネシア全体の水質悪化の一因となるのだ。今、インドネシアでは水質汚濁が深刻な環境問題の1つとなっている。下水処理技術やごみ処理技術が発達していないため、河川では大量のごみが川面を埋め尽くしていたり生活排水が未処理のまま流れ込んで異臭を放ったりしている。それは想像以上のもので、私は現地でその状況を目の当たりにして深刻さを実感した。この水質問題を養殖業の面から改善しようとして誕生したのがe-Fisheryなのだ。漁師たちが漁場にe-Fisheryを導入したことで過給餌が減少し、水質が改善して魚の生産率が向上した上に、大幅なコストカットにも成功した。
さらに、インドネシアの養殖業では漁師の高齢化や人手不足も問題となっている。餌やりを自動で行うということは、そこに関わる労働の機会を失わせることになるのではないかと考えるかもしれない。しかし、高齢な漁師にとって餌やりは体力的に厳しい仕事であるし、代わりに餌やりの仕事を任せる人を探そうと思っても田舎ではその人を探すことさえも難しい。さらに、漁師が雇った餌やりをする人の中には餌を盗んで売ることでお金を得ようと考える人もいる。そのため、e-Fisheryは漁師の高齢化の対処の面、さらには餌の管理の上でも役立っているのだ。
世界では、人口の増加や魚食文化の高まりにより乱獲が進み、気候変動も相まって天然魚が減少しつつある。従って、安定して魚を得るための養殖は重要性を増している。インドネシアでも、特に地方では魚は安価なたんぱく源である。そのため、養殖は魚の安定供給のために重要な産業であり、e-Fisheryの導入がそれを持続可能にした。
この事業についてギブラン氏は、「私が唯一気にしていることは社会に貢献するビジネスを作ることだ」そして、「小さなことからでも、今すぐに始めよう」と述べた。彼へのインタビューを通じて感じたことは、彼は社会問題を自分の問題のように捉えており、さらに問題の当事者の声を聞き、その立場になって考えようとしているということだ。社会の一員である私自身も社会問題にもっと真剣に向き合わなければならないと考えさせられた。身の回りの小さなことから少しずつ始めていこう、そう決意を新たにした。

取材先企業

企業名
eFishery
URL

ドキュメンタリー/Documentary "eFishery" 1

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