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グローバル・リーダーシップ・プログラム

201806/06(Wed)
グローバル・リーダーシップ・プログラム インタビュー記事

Blueboots Farm -農業で創る地域の未来-

インドネシア農家を変えるために。

近年、急速な成長が期待されている国の一つであるインドネシアは大小1億7千以上の島々からなる群島国家です。多様な土地条件から養鶏、肉牛や米、キャッサバなど様々な農業が展開されています。¹

しかし現在インドネシアの農家は減少傾向にあり農家は絶滅の危機にさらされているということがインドネシア科学院(LIPI)の人口研究センターの研究結果でわかりました。²

インドネシア国家農家の平均年齢は現在45歳。実際、中部ジャワの3村の農家の平均年齢は52歳に達しています。しかし、家族農業を続けようとしている若者はわずか3%しかいません。これは、将来、新しい世代の農家が存在しないことを意味しています。それだけでなく、小規模の家族経営や食糧として利用されていた、限られた土地も減少し始めました。このままではインドネシアの農業は発展することができません。

またインドネシアでは国と地域の農産物輸出が増大しています。国外への輸出は農家への利益に繋がるというメリットがあります。品質の良い作物は市場において高値で取引され、輸出することによって農家は生計を立てることができます。実際インドネシアでも多くの農家がこの手段を利用しています。

しかし、国内の農作物はどうでしょう。品質の良い作物は全て輸出に利用されてしまうので、国内に残る作物は品質が落ちたものとなってしまいます。国民が食として用いる農作物の質は落ちてしまいます。

インドネシア農業を行っていくうえでこれらの問題とどう向き合っていけばよいでしょうか?

 ¹www.maff.go.jp/j/kokusai/kokusei/kaigai_nogyo/k_gaikyo/idn.html

  ²www.koran-jakarta.com/petani-indonesia-terancam–punah-/

 

有機農業に挑戦する1人の女性

Samantha Gunawanはインドネシア出身、28歳の女性です。彼女は今これらの問題に立ち向かっています。アメリカで産業工学について学んだ後、シンガポールで1年間働き、2014年からJavaraでインターンをしました。Javaraは地域の農家から作物を買い取り、オーガニック商品を販売する会社です。

彼女は農業に対して強い興味があり、インターンを通して「自分自身も農業をしたい。地域の農家を支援するだけでなく、自分自身の手で体に優しい商品を創り出し、インドネシアの人々に栄養のあるオーガニックな食糧を提供したい」そう考えるようになりました。

「インドネシアにおいて品質の良い農作物は国外へ輸出されてしまう。国内で消費する作物は質が落ちたものとなってしまう。そのためインドネシアでは素材をそのまま生かした料理が少ない。香辛料を利用したり、調理法を工夫したりして味付けをし、作物の素材本来の味を隠している。私は、農作物本来のおいしさを追求したい。オーガニックで健康に良い安全な商品を提供したい。」

また、

「インドネシア農家の現状は賃金が低く、生計を立てるのが厳しくなっている。農作物の売り手も見つからず困っている人もたくさんいる。農家は仕事熱心にも関わらず、貧しい人々が多いのは不合理である。インドネシアの農業はたくさんの可能性に満ちている。それを最大限に生かした活動がしたい。」彼女はそう思いました。

これがBlueboots Farm誕生のきっかけです。

そしてその1年後、2015年にインドネシアのジャワ島のボゴール市Cijerukに農場を設立することを決めました。ボゴールは豊富な水源に囲まれ農業に適した地です。

しかし、若い女性農業経営者が長年続いている地元農家の輪に入り、リーダーシップをとるということは一筋縄ではいきません。地元農家の人たちにとっても、若くて新しく来たばかりの女性に自分たちの農場を任せるというのは大きな選択でした。農家の人たちが彼女を認めるには長い年月がかかりました。しかし彼女は決して諦めませんでした。持ち前の明るさを生かして、1年間毎日農場に通いました。

母が買ってきてくれた青色のブーツを履いて、毎日農業活動に参加しました。そのうちに彼女は農家の人たち、地域の人たちから《青いブーツの少女》と呼ばれるようになりました。

毎日の活動を通じて地元の農家は徐々に彼女をこの地のリーダー、経営者として認識するようになりました。そして農場の名前は彼女のシンボルである青いブーツから、『Bluboots Farm』と名づけられました。Blueboots Farmは“地元から調達された品質の良い、オーガニックで持続可能な商品”の販売を始めます。

 

消費者を気遣う商品づくり

Bluebootsの商品はインターネットショッピングをメインに販売されています。現在はピーナッツバター3種類とサツマイモチップス2種類、パンダンとモリンガのパウダーの合計で7種類を展開しています。

インターネットからインドネシア市内へ商品を提供することができます。全てオーガニックにすることで健康に優しい商品を生産することを可能にしました。原材料はBlueboots Farmと契約農家から生産されたものです。20代から30代の子育て世代の女性や健康志向の女性をターゲットに、デザインはシンプルで分かりやすく、かつファッショナブルなものになっています。デザインやパッケージにこだわることで市場での競争力を高めることを可能にしました。

Samanthaの従妹、JosephinaはBlueboots Farmのクリエイター兼農場手伝いをしており、商品のパッケージのデザインも彼女によるものです。彼女はBlueboots Farmのインスタグラムも更新しており、投稿写真にも彼女のセンスが発揮されています。

現在地元の農場には5人の農家と1人の農場マネージャーがおり、彼らは作物を生産することによって給料を得ることができます。Samanthaは安定した給料を提供するため、農作物の豊作・凶作に関わらず常に同じ価格で農作物を買い取っています。

また将来市場が拡大することを想定し、自分の農場の原材料だけではなく、地域の農場や農家とも手を取り合っています。他の農場との契約も適正な価格で取引しています。作物を生産していても買い取り手が見つからない、売るところがないという農家にBluebootsは手を差し伸べています。

適正な価格で買い取った後、作物を加工しパッケージすることで利益を生み出し、雇用形態を安定させています。「今後さらに地域周辺でより多くの農家を支援していきたい」と彼女は語ります。

 

Bluebootsの未来

Blueboots Farmは現在オンライン上ではウェブサイトとインスタグラム、フェイスブックなどを利用して情報を消費者に提供しています。また、オフラインではバザーを開催して商品を直接販売したり、定期的なイベントを開催するなど様々な形で消費者との距離が近くなるように工夫しています。

イベントでは農業の新たな可能性を引き出し若い世代に農業の魅力を知ってもらいたいという彼女の思いがあります。このようにしてBluebootsはビジネスと消費者との関係性を築き上げています。

またスラバヤにあるレストランにBluebootsは商品であるピーナッツバターを提供しています。他のビジネスとも提携をして輪を広げています。

 

Bluebootsの今後の目標はより多くの農家を支援すること、そしてこのビジネスプランをインドネシア全土に広げていくことです。また持続可能な農業に多くの若者、未来の世代を戻すことも彼女が掲げる目標です。そのために様々な農業教育活動なども行っています。

「今後を担う若い世代にもっと農業の可能性を知ってもらうことはとても大切です。農業はただ作物を収穫して食に利用するだけではなく、例えば、服の染付に利用したりするなど、食べること以外にも様々な道があるということを伝えたいと考えています。農業の面白さをもっと多くの人に知ってもらいたいです。そして、地元を離れてしまった若い子供たちに再び戻ってきてほしいです。」

「Blueboots Farmを農家のコミュニティーとして利用し、地元の輪を広げていく。オーガニックで健康に良い商品を自国で生産し、まずは自国で消費することが目標です。簡単なことに思えるかもしれませんが達成するには多くの時間と労働がかかるでしょう。」

と彼女は言います。

将来的に国外への輸出も視野に入れているけれども、まずはBlueboots Farmの地であるインドネシアでより多くの人にオーガニックな商品を提供し、人々に農作物の本来の味を知ってほしいと思っています。

農場だけでなく社会起業家フォーラムでも活動している彼女は、Blueboots Farmを大きくするだけでなく他の農場と協力し、様々なネットワークを広げていくことが重要であると考えています。

Samantha、彼女のような強い好奇心と、積極的な行動力、何事にも笑顔で立ち向かえる勇気が今後の農場、地域そして人々を繋ぎ、インドネシア社会全体にも好影響を引き起こすこととなるでしょう。彼女は今の仕事に誇りを持っています。そして何より仕事そのものを楽しんでいます。

私達は今回のインタビューで彼女の生き様に感銘を受けました。思い立ったら行動してみる。彼女の行動力は素晴らしいと思いました。農場の経営にあたって、壁にぶつかり試行錯誤を余儀なくされたけれども、彼女は常に前向きの姿勢で物事と正面から向き合い、問題解決へと道を進めていました。

「自分だけでなく周りの人も笑顔にしたい。自分の手で作った素晴らしい商品を提供したい。」そんな思いから生まれたBlueboots Farmは消費者だけでなく、農場との関わりや、社会全体のつながりを持ち、人々に大きな幸福をもたらしてくれることになるでしょう。

Blueboots Farm -農業で創る地域の未来-

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