令和元年
災害ボランティア
活動レポート

特集special contents

スペシャルインタビュー2
慶應義塾体育会準硬式野球部

部員79名のうち53名が福島県いわき市と千葉県長生郡長柄町ボランティアに参加した準硬式野球部。これまでに部としてボランティアに取り組んだことは無かった彼らがどうして活動をすることになったのか、活動して何を感じたのかを伺いました。

慶應義塾体育会準硬式野球部とは

1949年創立。準硬式野球部は全国の大学でおよそ350の部が活動し、関東だけでも準硬式部員は2,000人を超え、全国規模で行なわれる大会もあり、海外遠征も頻繁に行なわれています。春と秋には六大学リーグ戦、春には関東大会といった公式戦に参加、リーグ戦制覇、全日本大会出場・優勝に向け日々努力を重ねています。練習は主に週6日、春と夏に合宿を行なっています。

平 颯一郎さん

慶應義塾大学商学部3年。部では、主務として主将、副将と共に幹部としてマネジメントにあたり、外野チーフも務める。今季のスローガンは「日本一誇れるチーム」。

活動のきっかけ

Gakuvo

今回の活動をしようと思ったきっかけは何だったのでしょうか?

平さん

もともと、長柄町といわき市は、部の合宿地として例年お世話になっていた場所でした。長柄町は10年以上に渡ってお世話になっていましたし、いわき市は東日本大震災後に、被災地で消費をすることで復興支援にもなることから合宿地として5年ほどお世話になっていました。例年の合宿地が、被災したとニュースで知り、現地のOBとも連絡を取り、活動することにしました。

Gakuvo

実際に活動をするまでの流れを教えてください。

平さん

被災地支援へのサポートを行っている団体を調べたところ、日本財団に辿り着きました。日本財団からGakuvoを紹介してもらい、現地でボランティア出来ないかを電話で相談しました。

Gakuvo

10月中旬に平さんから電話があったのを思い出しますね。相談をさせてもらい、2か所で活動することになりました。

平さん

練習スケジュールを縫って、2日間の日程を確保し、いわき市で活動する部員、1日のみで長柄町する部員という形に分けて、幹部もそれぞれに分かれることにしました。私は長柄町に行くことになりました。部として、災害ボランティアは初めてのことでしたので、現地2か所での活動コーディネート全般をGakuvoにお願いしました。

関係性

Gakuvo

これまで合宿していた場所でのボランティアということで、いわき市ではこれまでの関係性がうまく展開出来ていたように思うのですが。

平さん

そうかと思います。いわきでの活動は日帰りが難しいため、合宿所として利用させていただいていた新舞子ハイツさんにご相談させていただきました。東京からの社会人引率が難しいかったため、合宿でもお世話になっている現地のOBの方にご協力いただき、活動の際の安全管理はもちろん、自家用車も出していただきました。

活動準備の中で平さんは、体育会の縦のつながりはもちろん、慶應義塾大学OBのネットワークを通じて、被災地域の情報を獲得していた。メディアでの報道があまりされていない地域でも、現地や近隣のOBからの情報により、ボランティアが必要であるという事を認識していった。

活動現場

Gakuvo

実際の活動の様子はいかがでしたか?

平さん

私自身は、長柄町で活動しました。部員18名で民家の土砂を掃き出す作業を行いましたが、体育会生の力を総動員して、ようやく私達の身長ほどの土砂の山を片付けることができたぐらいでした。被災地というものは想像しているよりも大変な状況で、またボランティアは大変な重労働であったと感じました。いわき市では、グループに分かれて軽作業を含む色々な活動を行いました。一軒目の民家で本や畳を整理した際、それらが膨張し大変重くなっており、水の怖さというものを間接的ながらも実感したと聞きました。参加人数も少なく短い時間だったとはいえ、自分たちが全力で活動を行ってもそこまで大きな貢献は出来ませんでした。被害を受けた範囲はとても広く、まだまだ支援が必要な地域が多いということを実感しました。

Gakuvo

特に印象に残った現地の状況・現地の方々の様子などはありますか?

平さん

今回の災害ボランティアを経験して、ボランティア活動が現地の人々に対して心理的にも大きく影響することがわかりました。当初、物理的な復興作業がボランティア活動のメインだと思っていましたが、実際に現地に赴き、憔悴した被災者の方々を見て、復興における精神的なケアの必要性を痛切に感じました。また、ボランティアによる共同作業を通じて心理的な交流を深めることができたことで、現地の方々の表情が明るくなるのが手に取るようにわかりました。このような経験から、ボランティア活動が生活再建の手助けをする活動であると同時に、被災した方々の背中を押すという重要な活動であることを、身を以て学ぶことができました。 現地ではまだまだ若い力が足りていない中で、住人の皆様方が頑張られている姿に、私たち若いものがもっと頑張らなくてはと強く感じました。学業や大会のための練習などはありますが、機会を見てまたボランティア活動に参加したいと思います。

お世話になっている地域が被災すれば、誰だって何かしたいと思う。一方で災害ボランティアは、想いだけで行動するには、様々なリスクを伴うものでもある。参加者本人の安全性は勿論、現地までの移動手段や、食事、宿泊の問題、被災地側の受け入れ準備などを無視する訳にはいかない。タイミングやコーディネートが悪いと、特定の地域に人数が偏ってしまったり、本来必要な地域に行き届かなかったりと、効率的な活動をするのが難しい。
勝手知ったる地域で土地勘があり、顔なじみであるため現地の方々も安心、メディアでは得られない情報を得て、本当にボランティアが必要な地域に向かって活動する。既にある信頼関係の中で行われるボランティア。これは一つの理想形と言えるのかもしれない。

THE NIPPON FOUNDATION