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大学との協働プログラム

202002/14(Fri)
プログラムレポート

聖心女子大学 SHOCproject 2019 スタディツアー報告書

日本財団学生ボランティアセンター(Gakuvo)は、聖心女子大学と協力協定を締結し、様々な事業を協働で行っています。

聖心女子大学 SHOCprojectは、2019年9月に、福島県いわき市にてスタディツアーを開催しました。

 

報告者:代表 2年哲学科 福井 美夏汀、2年史学科 寺林 優里

日時:2019年9月18日(水)~19日(木)

場所:福島県いわき市にて

参加者:聖心女子大学SHOCprojectメンバー5人で参加

ツアーの目的:現地に訪れることで、コラボさせて頂いているthe peopleさんについて直接お話を通して学び、本場のコットン畑を見る。また、畑の管理に関してアドバイスをいただく機会にもする。そして、東日本大震災に関して現地を回りながら学び、自分たちの活動の目的を再認識する。

活動目的:1日目に、コラボレーションさせて頂いている福島県いわき市のNPO法人ザ・ピープルさんの拠点に伺うことでピープルさんの歴史やオーガニックコットンについて学ぶ。また、今年度は収穫時期に畑に伺えるとのことで収穫のお手伝いもさせて頂く。

2日目に、私たちのプロジェクトが発足するきっかけとなった東日本大震災について学ぶため、Fスタディツアーさんにツアーを行っていただき、現地を見ながら震災について学ぶ。

活動内容

<1日目>

〇ザ・ピープルさんの事務所にて理事長の吉田さんよりピープルさんの歴史についての講義

  • 女性だけで行ったヨーロッパへの視察の経験を生かすため女性にかかわる諸問題を調査する。結果、「女性だけでなく男性とともに変わりよりよい社会を創造しよう」という理念の基、「ザ・ピープル」=意識のある人々 という法人名が決定した。
  • 自分たちにできることから始めるために住民主体の街づくりを目指す。初めに取り組んだのは“ごみ問題”だった。現状ごみになっているもので一番もったいないと思うもののアンケートの結果“古着”が挙がった。
  • 古着の回収を行い(回収量は年間約260t)、状態がよくないものはハンディキャップのある方々のもとでウエス材になる。また、自動車の内装にするため工場に売り渡すことや災害時に救援物資として使用したりもしている。
  • 災害時に避難所で炊き出しを行った。避難者の気持ちを奮い立たせるためあえて”自炊“の形をとる。福島県の農家から直接野菜を買い、約2万食提供する。
  • 原発による風評被害で耕作放棄地が大量に発生する。そこで津波の被害を受け塩化していた土地でも栽培が可能で、食用ではないため風評被害も免れるコットンの栽培を始める。
  • 震災当時人々が集って元気になれる場所としてサロンを提供する。しかし、サロンのように会話だけで成り立つコミュニティーでは真の関係性を築くことが難しいと判明し、「みんなの畑」で畑仕事のように共通体験ができる作業を通して真のコミュニティーづくりに貢献する。
  • コットンを製品化したときに、自分たちが栽培したコットンの存在がわかるように日本で長年育てられている茶綿の栽培を徹底。
  • 世界の2.5%がコットン畑である。しかし、化学肥料を多用しているものがほとんどである。震災を経験し、自然災害を経験した福島だからこそ環境を汚しながら生活するのではなく、環境に配慮し100%のオーガニックにこだわる。福島の浜通りにコットンベルトを作ることが今の目標。

〇収穫した綿花を使って糸紡ぎの体験

  • 綿花がどのように糸になっているのか見せていただき、実際に体験をさせて頂く。

綿繰り機…綿の中の種子を取り除く

弓打ち…綿をほぐす

〇畑にて収穫のお手伝い

  • ピープルさんが栽培されている畑にて収穫のお手伝いをさせて頂く。今の時期(9月中旬)になっているコットンはかなり生育がいいもので、良質な種子がとれる。
  • 最終的に5㎏の収穫に成功。

〇メンバー同士で1日目の振り返りと今後の活動の発展について話し合い(出た意見)

  • ピープルさんが幅広く精力的に活動されていることに対し尊敬する。
  • 始まりが古着の回収であったことを初めて知った。都内も気軽に古着の回収ができるところは限られているため、もっと身近にあったら回収率が上がりそう。(聖心女子大学でも回収してみたらどうか→学内で他のボランティアサークルが取り組んでいたため、参考に意見を聞いてみる)
  • 震災についてより身近に感じるために3月に訪れて多数の震災に関するイベントや講義参加してみたい。→スタディツアーの時期、回数の検討
  • 学内でもっとSHOCprojectの存在を広報し、メンバーを増やす。→広報機会の増加のためにインスタグラムを開設したらどうか。
    開設した場合の広報内容=日々の学内のコットンの生育日記やピープルさんが行っている活動の宣伝、今回のスタディツアーでの学びの共有、オーガニックコットンについての知識など。
  • オーガニックコットンがもっと広まるように聖心オリジナルグッズを製作し、宮代ショップに置かせていただく→商品企画のためにまずメンバー内でどのようコットン製品ができるか、かつ女子大で好評価を考え、アンケートを作成することに決定。
  • ・SHOCprojectがもっとわかりやすい団体になるように一目見てわかるシンボルマークや公式キャラクター案の製作

 

<2日目>

〇Fスタディツアーさんによるツアー(Jビレッジの見学、富岡町駅、双葉町、夜ノ森の桜並木、帰宅困難地域などの見学)

  • 避難し、避難先での生活が定着してしまうことで多くの若者や子供を持つ世代が現地に戻ってこないことが多い。
  • 結局今もなおエネルギー資源は原発に頼っている。少しでも自然エネルギーに切り替えられるように洋上風力発電という新たな試みが始まっている。しかし、この試みは民間会社によって行われており、政府は関与していない。
  • 今もなお毎月11日に行方不明者の捜索が行われている。
  • 夜ノ森桜は500m続く桜のトンネルが名所であったが、途中から帰宅困難地域に指定され、そのトンネルはバリケードにより途切れている。
  • 現在帰宅困難地域に指定されている町は人口よりも作業員の数のほうが多い。
  • 福島県では主に津波被害により1605名の方が直接死で亡くなる。原子力発電の被害や避難生活でのストレスなどによる自殺などの関連死は2270人以上でこれからどこまで数字が伸びるか予想がつかない。
  • 避難指示により空いた家に入る空き巣が多く、消防団、警察、自治体のパトロールが欠かせない。
  • 耕作放棄地をなんとか利用できないかと考え、畑一面にソーラーパネルを設置。浜通りは日照時間が長いためソーラー発電に適している。回収された電気は売って町の財源になっている。しかし、これらは20年ほどで寿命がくるため、大量のソーラーパネルがごみとなる。また、ソーラー発電にすることにより雇用は生まれない。
  • 原子力で汚染された土を除染する作業がひたすら行われている。除染された土は中間貯蔵施設に持っていかれ、最終処分場までの時を過ごす。最終処分場は県外に作られると政府と県民の間で約束されているが、最終処分場は未だに決定していない。
  • 中間貯蔵施設は渋谷と同じくらいの広さである。黒い袋に除染した土をいれて中間貯蔵施設に運ぶまでが作業になるが、町のいたるところに黒い袋が放置されている。これらの袋は2~3年ほどで劣化する。
  • 福島の原子力発電所で作られたエネルギーの多くは都内で消費される。今福島の人々が原子力発電の事故により沢山苦しい思いをしているがそこで作られていたエネルギーは都会で消費される。しかし、原子力発電所を福島に建設することへの県民が受けるメリットも政府から与えられていた。それが原発バブルと呼ばれている。

感想

<1日目>

  • 吉田さんの講義を通して、海外に足を運び、そこでの学びを地元に還元する姿勢が素晴らしいと感じた。吸収したものは形にしなければならないし、学びは社会への貢献という形で還元しなければならない。大学に通い最後の教育期間を迎えている私たちが学ぶ意義が見えた。
  • もふもふのコットンから張りのある糸ができるのか心配であったが、吉田さんが教えてくださった手順を実行すると本当に糸が紡げた。コットンの素材としての強みを実感した。
  • 学内でもっともっとSHOCprojectについて知ってもらい、メンバーも増やしたいという声が多数上がった。そのためにメンバー同士で今後の活動を盛り上げるために今何が足りなくて、どう改善していけばよりよくなるか話せたことがとてもいい時間になった。
  • メンバーの多くから福島をもっと知りたいという声が上がった。確かに東日本大震災や原発により沢山の課題があるのは事実だが、沢山いいところがあると感じたため、メンバーみんなで福島の良さをもっと堪能したい。

 

<2日目>

  • エネルギー社会になりつつある今、人々が利便性を求めるがゆえに人の労力の代わりにエネルギーが使われる社会になっている。しかし、エネルギーは限られているということ、エネルギーを生産するにあたり多くのリスクを背負っていることを自覚しなければいけない。
  • 私たちの生活はあらゆるところが自動化されているが、本当にすべて必要だろうか。必要最低限のエネルギーだけで生活することを考えたい。
  • エネルギーを売買する商品にするとレートの関係が発生し、利益を得る手段になってしまう。そうではなく生活に必要な資源なのだから自分の家で使うだけのエネルギーを生産し、自分の家で使う。エネルギーの地産地消が提案されたらどうか。
  • ガイドさんのお話の中に「震災によりすべて流されて、何もなくなった。例えお金が残ったとしても購入するものがない。結局最終的にお金は役に立たないことを感じた。」というお話が印象的だった。お金で得られるものよりも自分の体で得られるもの、経験や知識、人との繋がりや情熱などが自分を助けてくれるのだと感じた。沢山のことを経験し、人と出会い、吸収して自分の体に落としこむことを大切にしたい。
  • “東日本大震災の被害”というと津波の被害が印象強いが、その津波被害に加えて原発の被害も受けている福島は東北の中でもすごく頑張らなくてはいけない立場であることを感じた。日本は唯一原爆の被害を2度も受けたことがある被爆国である。そのため、本来原子力の恐ろしさについて教訓を伝えていかなければいけない立場である。
  • しかし、日本国民は今原発に頼った生活をし、今もなお福島では除染作業により働く方々がいることや、帰宅困難の地域があること、多くの自然の産物が犠牲になったこと、避難によるストレス・いじめでどれほどの心的ダメージを受けたことなど私たちは知ろうとしなければならないことが沢山あると感じた。世界に教訓を発信する以前に日本でどのような問題が発生しているのか的確に知らなければならない。そのためには現地を訪れることが一番直接学べるし、経験ができる。今回はそのような意味で本当に貴重な機会であった。
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