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ジャーナル

環境問題は解決できる!? 私たちで未来をもっと良いものに!!

「環境問題を自分事に」

年々増え続けていく異常気象。
その先にある未来を想像したことはありますか?
今の若者が親になった時
子どもを豊かな自然の中で遊ばせてあげることができるのでしょうか。

自然環境をもっと良いものにしたい。
いや、しなくてはならない。
そんな想いを持ち気候変動に対して行動を起こしている人たちがいます。

Fridays For Futureとは?

スウェーデンのグレタ•トゥーンベリさん(当時15歳)が、金曜日に学校を休んでストックホルムの国会議事堂前に座り込み、気候変動対策について訴えたことに端を発しました。
活動が金曜日に行われていたことから「#Fridays For Future(未来のための金曜日)」と呼ばれています。

今回、取材させていただいたのは、国会議事堂前での演説やマーチ(※1)などの活動を精力的に行っている「Fridays For Future Tokyo(以下:FFFT)」にて、活動されている3人です。

※1マーチ:一般的には行進のこと。ここでは気候変動・温暖化に具体的な政策・行動を求めるデモなどのアクション、国際的なストライキを指す。

プロフィール

井上寛人(Inoue Hiroto)さん
明治大学2年生。国際環境NGOグリーンピース・ジャパンにてインターンを経験。FFFTの共同設立者。団体内では人事のような役割。フレキシタリアン(※2)。
※2「フレキシタリアン」:柔軟を意味する「フレキシブル」と、菜食主義者を意味する「ベジタリアン」を組み合わせた造語で、直訳すれば「柔軟な菜食主義者」という意味。

 

酒井功雄(Sakai Isao)さん
東京都立国際高等学校3年生。高校2年生の時に1年間アメリカに留学。NGO「350 Japan」にてボランティアを経験。FFFTでは企画の立案、運営などを担当。

 

秋山知也(Akiyama Tomoya)さん
東京大学1年生。昨年11月からFFFTの活動に参加。 団体内では戦略を立てる役割。井上さん同様、フレキシタリアン。

環境問題に興味を持ったきっかけは?

あゆ:皆さんが環境問題に興味を持ったきっかけを教えてください。

秋山さん:僕は大学の受験勉強として、英語のメディアや新聞を見ていた時期がありました。それらを見て、”気候変動”がすごく重要なテーマとして取り上げられていると感じました。一方で、日本ではそういうことがあまり報じられていないことに温度差を感じたことがきっかけです。あと、グレタさんはTED(※3)のスピーチで「地球と人類の未来を守るためには、環境問題に対して、今行動を起こす必要がある。勉強をしている場合ではない。そもそも、優秀な科学者がどんな事実を提示しても、人々が環境問題に取り組まないならば、勉強をする意味はあるの?」と言っていたのですが、それが受験勉強をしていた当時の自分に響きました。
※3TED: Technology Entertainment Designは、世界中の著名人によるさまざまな講演会を開催・配信している非営利団体。

酒井さん:僕は1年間アメリカの学校に通っているときに、”環境科学”の授業を取りました。留学する前は、気候変動とか地球温暖化とか、「知ってはいたけれど、詳しくは分からないな」と思っていました。それが、勉強していく中で気候変動について深く知りました。例えば、永久凍土が溶けると発生するメタンガスが温室効果を生み、気温を上昇させることで、更に永久凍土(※4)が溶けるという負のサイクルに気づきました。そして、日本に帰ってきてから「何かアクションを起こしたいな」と思いました。

※4永久凍土:2年間以上にわたって温度0℃以下の土壌や地盤のこと。

井上さん:僕は小さい頃から動物が大好きで、よく動物園や森に行っていて、自然と触れ合う機会が多くありました。そんな中、小学校4年生くらいの時に学校の授業で「絶滅危惧種について調べよう」という授業があって、その時に初めて、人間の活動の影響で様々な動物が苦しんでいるということを知って衝撃を受けました。けれど、それからしばらく小・中・高と何も出来ませんでした。

でも、「大学に入ったら環境問題に対して何かできないかな……」と思い、昨年の2月に国際環境NGOグリーンピース・ジャパン(以下:グリーンピース)というNGOでインターンを始めました。そこでは、活動を手伝ってくれるボランティアを増やしたり、ボランティア同士のつながりを作ったりしていました。

あゆ:小さい頃の体験が今につながっているのですね。

井上さん:絶滅危惧種や気候変動のことを、調べれば調べるほど大変なことだと気づきました。グレタさんをはじめ、自分以外にもアクションを起こしている若者がたくさんいることを知り、もっと頑張ってみようと思い、FFFTの立ち上げの際にも関わらせてもらいました。

FFFTの活動を始めたきっかけについて

あゆ:井上さんはFFFTの共同設立者ということですが、皆さんがFFFTで活動を始めたきっかけは何ですか?

井上さん:FFFTができた時は、ちょうどグリーンピースでインターンをしていて、そこでは自分より上の世代の人たちと関わることができて楽しかったのですが、学生の仲間にも出会いたくて、FFFTの立ち上げのミーティングに参加してみました。そこで、国際環境NGO FoE(Friends of the Earth)Japanでボランティアをしていた立正大学4年生の小出愛菜さんから熱い想いを聞きました。彼女は、よく「気候変動を他人事から自分事に」と言っていました。「他人事」として考えがちな環境問題をもっと身近にしたい、という想いでFFFTを立ち上げたそうですが、僕も同じ想いがあったので一緒にやってみようと思いました。

酒井さん:僕が「350 Japan」というNGOに入ったのは昨年の12月頃でした。そこで活動を始めてから、気候変動の状況が悪化しているにも関わらず、日本の政府や銀行が石炭に投資をしていたり、海外にも石炭火力の技術を輸出していたりと、それを更に促進していることにすごく憤りを感じました。そんな中、「FFFTの第1回目の活動があるから来ないか」とスタッフの方から誘われて参加しました。最初は軽い気持ちで参加したので、国会前でスピーチをするとは思っていなくて戸惑ったのですが、皆さんの話を聞いていたら、「自分も何か言わなきゃいけない」と思いました。
僕には3歳の妹がいるのですが、今、自分がこうやって環境問題に対する活動をしていて十分に力を発揮できないということは、妹の未来を守れないことになってしまいます。しかも、一番影響を受けるのは、僕たちの世代もそうですし、これから先の世代の人たちです。しかし、彼らはまだ理解するには幼すぎるし、行動を起こすこともできないので、僕たちが動かなければいけないと思っています。

秋山さん:僕は環境問題に興味を持ってからこの団体に参加するまでには時間差がありました。というのも、最初は「海外でここまで話題になっているし、いずれ日本でも同じ問題意識がある誰かがやってくれるだろう」と他人任せでした。マーチには昨年の5月くらいから参加していたのですが、それ以上のことはしていませんでした。でも、その頃になっても日本では全くニュースにならないということに、すごく危機感というか衝撃を感じました。そして、「自分も参加しないといけないのではないか」という焦りが生まれ、この団体に入りました。

関心のない人に対してのアプローチは?

さとこ:環境問題に対して関心のない人たちについて、どう考えていますか?

秋山さん:僕個人としては、今の日本の状況で環境問題に関心や危機感を持つことは難しいと思います。むしろ、この状況をどのようにして変えていこうかと考えています。本来、気候変動の問題は全員に関わるものなので、全員が関心を持つべきだと思っています。しかし、実際はそうではない状況にあるので、それに対して、なるべく入り口を広く持つということが大事だと思っています。

酒井さん:環境問題に対して無関心な人に興味を持ってもらうために、個人的に意識していることは、気候変動などの問題を小難しくしないということです。日本だと「ストライキ」や「デモ」という名前を使ったら「怖い」と思われてしまうことが多いので、「マーチ」に名前を変えています。マーチも、できるだけ堅くならないように、カラフルに、例えば緑の服を着てきてもらうとか、みんなプラカードを持ったりしています。そして、出来るだけ参加をすること自体が、「楽しい」「おしゃれ」「カッコいい」と思ってもらえるようにしています。まずは行動を起こしてみて、結果的に「あ、これは環境のことだったのだな」と気づいても良いのではないかと思います。

「グローバル気候マーチ東京」の様子

日常生活で環境に配慮していることは?

さとこ:どうやって行動に移したらいいのか分からない人がいたら、何と声をかけますか?

井上さん:環境系アクションにも種類がありますし、色んなアプローチがあるので、自分が「出来そうだ」と思うことや、「楽しそうだな」と思うことから始めることを提案します。それで続けてみて「楽しいな」と思えたら、更に勉強すれば良いと思ので。最初は楽しみながらやるということを伝えています。例えば、古着を着る、たまにビーガン(※5)料理を食べてみる、マイボトルを使うことなど。そういうことから伝えるようにはしています。
※5ビーガン:生産過程で大量の温室効果ガスを排出する食肉をはじめとする動物性食品をいっさい口にしない「完全菜食主義者」のこと。宗教上の理由ではなく、ビーガンを選択する人もいる。

 

~なぜ、古着・マイボトルは環境に良いのか?~
〇古着
日本の古着のほぼ90%が、回収されることもなく焼却されつづけています。
(参照:国内を循環する古着を着る、そしてライフシフトへ

〇マイボトル
ゴミを焼却する際に発生する二酸化炭素は、地球温暖化を引き起こす原因になります。その点、マイボトルを使えば無駄なゴミを出すことがありません。

 

さとこ:実際に日常生活で配慮していることはありますか?

井上さん:古着とマイボトルとお肉ですかね。僕はビーガンになりきれてなくて、フレキシタリアンというのですが、なるべくお肉を避けています。お肉を食べる時は、牛肉や豚肉よりも鶏肉にするとか。あとは、友達に自分の活動や環境問題のことを軽く話したりしているし、InstagramやFacebookでも「楽しそう」と思ってもらえるような発信をしたりしています。

秋山さん:僕も同じようにフレキシタリアンです。ペットボトルはほとんど使っていません。あとは、個人的にはTwitterで自分の意見を発信しています。1人ひとりに共感を広めていくというやり方も良いと思うのですが、僕にはそっちは向いていないので。むしろ、「こういう理由で気候変動に対して取り組むのが合理的だよ」と伝えるようにしています。それで行動が変わらなかったとしても、そういう認識だけはみんなに持ってもらいたいと思っています。

酒井さん:僕が日常生活で気をつけていることは、買い過ぎないことです。洋服とかも、昔はたくさん買うことが好きだったのですが、本当に必要な時にしか買わなくなりました。レジ袋を断る時も、「要らないです」と言葉にしてしっかり断るようにしています。「要らないと言う人が増えているのだな」とお店の人に思ってもらいたいからです。他にできることでいうと、ダイベストメント(※6)という運動があるのですが、日本の銀行、特にメガバンクが石炭にすごく投資をしているので、石炭に投資をしていない・投資額が少ない銀行(ネット銀行など)にお金を移し替えることもできるのではないかなと思います。
※6ダイベストメント:インベストメント(投資)の反対の意味で、主に地球温暖化の原因になっている石炭・石油・ガスなどの化石燃料関連企業への投資撤退を呼び掛ける運動のこと。

今後の目標について

さとこ:今後の目標はありますか?

秋山さん:地球温暖化対策として2050年までにゼロエミッション(※7)を目指さないといけないのですが、現段階では日本のCO₂排出量が全世界の3.5%ぐらいを占めているので、これを大幅に減らさない限り目標は達成できません。目標を達成するためには、日本で2040年くらいまでに再生可能エネルギー(※8)を100%普及させなければならないと思っています。そして、政治家も変わらないといけないし、企業も変わらないといけない。何よりも、世論全体が気候危機の問題に対して関心や知識を持たないといけないと思うので、そこを最終的には目指していきたいと思っています。
※7ゼロエミッション:産業により排出される様々な廃棄物・副産物について、他の産業の資源などとして再活用することにより社会全体として廃棄物をゼロにしようとする考え方のこと。
※8再生可能エネルギー:地域で生産・供給できることから、エネルギー安全保障にも寄与できる多様で、低炭素のエネルギー源のこと。例)太陽光・風力・地熱・小水力・バイオマス等。

酒井さん:2050年までにゼロエミッションがあるので、個人的には2030年までに石炭の使用をゼロにしたいです。日本はまだこれから石炭火力発電所を22箇所も新しく作ろうとしている現状があるので、それもゼロにしていくというのが不可欠だと思います。

井上さん:僕のFFFTでの目標は、世論と企業を変えることです。市民向けのイベントをたくさん開いたり、Instagramでのライブ配信をしたりなど、行おうと思います。政治の場で環境の問題が議論の論点になるくらい、まずは市民の意識を変えたいと思っています。
また、それと同じくらい企業の方にも力を入れたいと思っています。環境問題に取り組むことは、企業にとっても利益になるので、そういうことを周知するとか、既に環境問題に対して取り組んでいる企業とサポートし合う関係になりたいと思っているので、そういう方から攻めていこうかとも思っています。

環境問題の影響を受けるのは、今の大学生の世代、そしてその先の世代。
次世代のために、今、行動を起こさなければいけない――。
FFFTの皆さんは、その想いを持って、未来をもっと良いものにするために行動を起こしています。

取材元:Gakuvoジャーナル編集部