学外災害東北大学
東北大学 SCRUM震災伝承部ツアー 活動報告
東北大学課外・ボランティア活動支援センター SCRUM震災伝承部では、日本財団学生ボランティアセンター(Gakuvo)と共催し、東日本大震災にかかるスタディツアーを実施しました。
本来であれば、春に開催し新入生の参加の機会としていましたが、新型コロナ感染症対策のため活動が実施できていませんでしたが、状況が少し落ち着いていた11月に実施をすることができました。
SCRUMの学生からの報告を掲載します。
概要
1. 日時:2020年11月29日
2. 参加者:
SCRUM所属メンバー 8人
学内一般参加者 12人
教員 1人
計 21人
3. 活動報告
東北大学SCRUM震災伝承部では、東日本大震災の被害実態や被災した地域の現状に関心を持つ学生を対象に、それらについて学ぶ機会を提供することを目的としてスタディツアーを企画しました。
活動の一か月ほど前から学内で広報を開始し、12名の参加希望者が集まりました。
活動前日の11/28(土)には、ツアー参加者を対象に事前講習会を行いました。
事前講習会の主な目的は、事前の勉強や交流を通して①活動当日の学びを深めること、②参加者同士の感想・情報共有を活発にすること、の二点です。
アイスブレイクを行ったり、気仙沼市についての知識を共有したりと、短いながらも充実した講習会となりました。
ついに当日、みんな揃ってバスに乗り込み大学を出発しました。
バス内では前日に引き続きアイスブレイクを行った後、一つ目の目的地となる「気仙沼市東日本大震災遺構・伝承館」についての情報共有をしました。
”震災遺構”の定義や伝承館が建てられた経緯の説明などがあり、参加者も真剣に聞いている様子でした。
アイスブレイクの楽しい雰囲気からの切り替えという点でも、情報共有は良い時間になったと思います。
「気仙沼市東日本大震災遺構・伝承館」到着後、最初に3.11当時の様子などがわかる映像を見ました。
その後、語り部さんにガイドをして頂きながら、2グループに分かれて館内の見学をしました。
津波に襲われた状態そのままに残されている高校の校舎を初めて目にし、三階部分に流れ着いた車や全てが津波によって歪んだ光景に衝撃を受けました。
参加者については語り部さんに各々質問もしつつ、語り部さんご自身の体験談や3.11当日に高校に残された人々のお話、近隣の指定避難所の問題点などについて伺う中で、それぞれが自分なりに3.11について考えをめぐらせていたような印象です。
語り部さんの「とにかく自分の命を一番に考えて大切にして欲しい」というメッセージは、皆真剣に受け止めている様子でした。
最後には、大切な人を失った三人の方の映像を見ました。残された人々の苦痛を伝える内容でしたが、同時に生き残った人々がどう生きていくかについて考えさせられました。
”被災地”と呼ばれる場所を初めて訪れる人も多い中で、津波の恐ろしさや防災・伝承といった震災の今後のこと、そして失われた命と残された命についてより身近な感覚で考える時間になったと思います。

気仙沼市東日本大震災遺構・伝承館見学 屋上

気仙沼市東日本大震災遺構・伝承館見学 遺構校舎内
「気仙沼市東日本大震災遺構・伝承館」の見学の後は、海の市に向かいました。
伝承館では精神的につらいものも含む内容だったので、1人で溜め込まないようにバス内では感想共有などもしつつ移動します。
海の市では昼食を食べました。
おいしいご飯を食べ、気仙沼市を被災地として捉えるだけでなく、魅力のある街という別の見方もできるようになった参加者もいたようです。
二つ目の目的地は「リアス・アーク美術館」です。
ここでは、主に「東日本大震災の記録と津波の災害史」の展示を見学しました。
震災の記録として非常に多くの写真が展示してあり、参加者それぞれが静かに一枚一枚の写真を見ていました。
また、津波に汚されたぬいぐるみなど個人の思い出が感じられる展示もいくつかあり、それらも熱心に見ていた印象です。

リアス・アーク美術館見学
見学が終了し、帰路につきました。
難しい内容・つらい内容も多かったので、疲れてしまった人も多いようでした。
コロナ対策の観点から、今回の振り返りは対面ではなく各自アンケート記入です。
参加者全員ツアー内容に満足できたという回答で、充実した一日にできました。
また、アンケートの具体的な回答としては「日常を一瞬で奪う津波や、安全だと思い込むことの恐ろしさを感じた」「知らないことがたくさんあって、今後は他人事にしてはいけないと思った」「起こったことを忘れずに後世に伝えていきたい」「もっと色々な方の話を聞きたい」「当時の自分にもできたことがもっとあったのではないかと思い悔しくなった」といった感想がありました。
伝承館の目的は”伝える”、美術館で見学した展示の目的は”記録”でしたが、どちらの目的も”後世に残す”という点では一致しています。
今回のツアーは、私たち自身聞いたり学んだりするだけでなく、それらを3.11経験者かつ若者として今後に残していくという役割を既に持っているし、それをできる立場にあるのだと気づくきっかけになりました。
普段から学生ボランティアとして活動している学生にとってもそうでない学生にとっても、多くの学びがある貴重な機会でした。
ご支援下さったGakuvoさんをはじめ、参加して下さった皆さん、企画に協力して下さった方々、ありがとうございました。
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