大学等との連携プログラム Collaboration with university

千葉大学「持続的地域貢献活動実習」実習報告

農作業、古民家リノベーション、移住住民による村の中での活動を知るために(2)(2021年7月31日)

千葉大学では、日本財団学生ボランティアセンター(Gakuvo)との協力協定のもと、2012年度から地域での社会活動を組み込んだ授業科目を開講しています。

その取組の一つとして、2018年度より国際教養学部は実習科目「持続的地域貢献活動実習」を開設し、鴨川市でのさまざまな地域活動を行っています。

2020年度はコロナ禍で先が見えないこともあり開講を見合わせましたが、2021年度は感染対策をすすめながら再開しました。あわせて今年度から社会調査士資格を取得するための「社会調査実習」も本授業に重ねて開講しています。地域の人々に聞き取り調査を行い、学生がその地域で抱えている課題や現代的な様相を学び、それを報告書として記していきます。

今年度、聞き取り調査に参加する学生の全体テーマは「移住者の活動を通じて見る村落社会コミュニティの再創造」です。新たに鴨川市に移住してきた人々が、村落社会のコミュニティに定着するまでのさまざまな局面を聞き取り調査により理解していくものです。これまでの実習でも行ってきたように、継続的に現地に通います。そして農作業に関わりながら、地域での活動に関わる大学生のあり方を考えていきます。そして社会調査実習では、各自が問題意識を持ってテーマ設定をして、インタビューを行います。

今年度2回目の訪問であった7月31土曜日は、学部生9名、大学院生1名、教員1名が、釜沼北集落の共同作業(いわゆるむら仕事)である草刈り、コサギリ(延びた木の枝を剪定する)に参加しました。

前回は大山千枚田保存会が事務局の棚田オーナーに参加しているなかでの活動でしたが、今回は集落に住まうみなさんの共有地を中心に手伝いに入りました。

午前中は有害鳥獣対策でヤマの斜面に設置されている電気柵周りの草刈りと剪定になります。私たちは初心者ということもあり、主に手刈りの鎌を使って作業を進めました。

昼食のとき、古民家のリノベーションに携わる東京工業大学の塚本由晴教授の研究室メンバーより、古民家リノベーションの進捗状況をご説明いただきました。集落にある廃材をいかに集めて、それを整理分類して、そして廃材を資材としてリフォームにどう活用するか。そして現在では集落内に自生していない茅を栽培により再生させ、それを使っての茅葺き屋根再生に取り組むことなど教えていただきました。

午後は主に集落で共有している道脇に生えている草刈りと木の剪定です。釜沼北集落は、天水(雨水)による棚田の経営を古くからされていることから、8月の最初に雨乞いの祭礼を行います。その祭礼前に集落をあげて行う共同作業が、草刈りとコサギリです。残念ながら、祭礼は今年も昨年に引き引き続いて、コロナ禍のため中止ですが、共同作業は行います。

鴨川市内にあるどの集落でも、草刈りの共同作業は行われています。集落に住まう人たちにとっては、義務的な活動ではあります。しかしながら、猛暑の中そして旧来より集落に住む方々も高齢化が進んでいることもあり、なかなか全員が揃って活動はできません。どの集落でも欠席の場合は、集落にお金を払う出不足金という制度があります。体力的なものを考えると、出不足金を払って欠席した方がよいこともあります。しかしこのようななかで、新たに移住して農業をはじめる若い移住者が大きく貢献をしています。

移住をして林業をはじめた方が、手早く剪定をすすめていきます。チェーンソウを使って斜面に立って手際よく進めていきます。私たちのグループは、草刈りをすすめるとともに剪定されて道に切り落とされた木枝を片付けていきます。学生は、剪定の専門的なスキルがあるわけではないですが、複数の人間でどんどん大きな木枝を片付けていくことに参加して「やはり若い人間が複数いるだけで、むらの戦力になるのではないか」と感じたりしています。

そこに古くから住まう人、新しく移住してくる人、そして外から訪れる私たちの関わりを考えます。村の共同作業は、いわゆる立場の違うもの同士が「協働」していくことで、新たなコミュニティができるのではないか、と思ったりします。むらの共同作業に大学生が関わることの意味を、これから高齢化が進む農村のあり方とともに考えていきたいと思います。

 

この授業は、1年間の実習活動で、地域のみなさんにご協力いただきながら、鴨川市でのさまざまな地域活動に参加します。これまでは天水棚田での稲作、里山暮らしの伝統文化、地域住民との交流、大学・企業・行政・NPO・市民との連携、集落の地域活性化等々を経験しながら学ぶことを目指してきました。引き続き、何度も足を運び、地域で自分たちが関われること、そして人から話を聞き、理解しそれを生活誌的な記述する活動を行っていきます。

また、このコロナ禍の中で、外から来た私たちを受け入れてくれるのだろうか?と迷いましたが、ぜひ参加してほしいと受け入れていただきました。しかしながら今後のコロナ禍の状況を見て、私たち自身が参加のあり方を慎重に考えたいと感じています。

この授業は、千葉大学のCOC+事業(「地(知)の拠点大学による地方創生推進事業:都市と世界をつなぐ千葉地方圏の”しごと”づくり人材育成事業)の一環として、鴨川市との協定のなかで取り組んできました。COC+事業は終了しましたが、この学びはつづけていきます。Gakuvoと千葉大学の連携、千葉大学との鴨川市との連携のなかで、学生たちは地域の課題を理解し活動する活動により、学修を深めていきます。

東京工業大学の研究室メンバーによる古民家リフォーム進捗の説明

東京工業大学の研究室メンバーによる古民家リフォーム進捗の説明

 

コサギリで道にたくさん落ちた木枝を回収してまとめる作業を手伝う

コサギリで道にたくさん落ちた木枝を回収してまとめる作業を手伝う